オリヴィエ・ポルジュの「嘉永六年」
日本の香水のマーケットについて調べているうちに、ふと江戸の鎖国政策を連想した。
消費者が日本の外で起こっていることを知らない状態や、海外から入ってくる商品や情報が著しく限られている状況なのは、いったいなぜなのだろう。
厚生労働省の規制ということもあるだろうが、他のいくつかの要因も加わり、一種独特な環境が出来上がっているように思える。
暫く、香りをつくることに関わる興味が失せていたが、久しぶりに新作への意欲が高まってきた。
テーマは「嘉永六年」。調香師ジャック・ポルジュの息子で、最近はケンゾーパワーを手掛けたオリヴィエ・ポルジュに声を掛けようかと思っている。
オリヴィエ・ポルジュとは、数年前にシンガポールでの展覧会でコラボレートする予定であったが、主催者側の予算不足故に実現させることができなかった。その折に、「非常に残念だ。いつか一緒に仕事をできるのを楽しみしている。」と、言っていたので良い機会かもしれない。
父親のジャック・ポルジュがシャネルを引退した際に、オリヴィエ・ポルジュがその後を引き継ぐことになれば、彼と仕事をすることは不可能になるであろうし、何かをしておかないと後悔することになるであろう。
先ずは、昔好きだった「嘉永六年六月四日」を、彼に聞かせることから始めよう。